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質問通告内容

会議名
令和2年藤枝市議会定例会6月定例月議会
質問日
令和2年7月9日
区分
一般質問
議員名
大石信生 (日本共産党)

内容

標題1:リニア問題の核心―
 大井川の「河原砂漠化」を引き起こさないために

 リニア中央新幹線の部分開業予定とされる2027年に間に合うかをめぐって、JR東海(その後ろにいる国)と、住民側とのせめぎあいが急を告げている。交渉の山場を迎えて、世論と共に、県・流域市町がどういう科学的根拠をもってこの問題に立ち向かうか。石井議員が昨年11月議会で取り上げた問題だが、現局面で改めて議論に参加したい。

(1) 大井川の河原砂漠化の危険について
 最大の問題は「水」にあるが、その核心は、JR東海が主張する「失われる毎秒2.56トン(のちに毎秒3トンと修正したが)をどうやって元に戻すか」というところにあるのではない。じつは最悪の場合、大井川の水が完全に失われて、大井川がカラカラに干上がる河原砂漠になってしまう恐れがあるという地質学からの提起が、まさに水問題の核心である。
 どういうことかというと、大井川流域には年間3000ミリの降雨があり、大まかに3分の1が蒸発、3分の1が表流水、3分の1が地下水となる。ユーラシアプレートとフィリピン海プレートのせめぎ合いによって形成された南アルプスは褶曲山脈である。褶曲とは曲がりくねること。褶曲山脈とは二つのプレート方向からの強大な圧力と隆起や沈降の力などがかかって地層が波形に複雑に曲がりくねって形成されている山脈のことである。褶曲した部分に圧力がかかると地層がずれるのでここには断層が多く、断層の部分は、細かく砕けた岩石が帯状に集まる破砕帯となる。また岩石が擦れると粘土層が形成されその部分に浸透した雨水が溜まるので、褶曲した地層には地下水が多いといわれる。リニアのトンネルは多くの断層を貫通する工事で、糸魚川静岡構造線、笹山構造線、仏像構造線、戸台構造線、中央構造線など構造線と呼ばれる断層―これは断層を境に両側の地質の様相が大きく異なるような巨大な断層があり、ほかに小渋断層など無数の断層があって、この断層群を貫通しないで工事はできない。これら無数の断層の破砕帯には数百年の年月を経て溜まった地下水が蓄えられている。いわば南アルプスはその山体に巨大な水がめを抱きかかえており、そのために渇水期になっても大井川の水は流域に悠久の恵みをもたらしているのである。
 この断層破砕帯を貫通させてしまうとどうなるか。かつて丹那トンネルで起こったことだが、丹那トンネル工事では丹那断層の断層破砕帯を貫通してしまったことで一挙に芦ノ湖の3倍の水が抜けてしまって、豊かな地下水に恵まれてワサビや稲作が盛んだった丹那盆地が水枯れになって、牧草を生やして酪農に転換するしか生きる道がなかったこと。また映画「黒部の太陽」にでてくる糸魚川静岡構造線の断層破砕帯が抜けるすさまじいシーンは日本中に知られたが、黒部の断層破砕帯が80メートルだったことと比較して、南アルプス山脈の断層破砕帯は数百bに及ぶという。標高3千メートルの地下1400メートルだから、この「土(ど)かぶり」の土力を受けて大きく膨らんだ風船に針を突き刺した時のように断層破砕帯にため込まれた水は一挙に抜けてしまって、数百年間は元へ戻らないという。とても毎秒3トンの失われかねない水をどうするかなどというレベルの話ではない、まさに大井川の河原砂漠化を起こしてはならないという地質学の分野からの提起―この提起こそ、いま流域の全住民とその先頭に立つ首長がつかんで離してはいけない重大な問題点だと考えるが、市長の見解をお聞きしたい。

(2)「安全性の証明」がされていない問題
 南アルプスは、いまも年に数ミリの隆起が続いており、巨大断層がいくつもある。地震時に多くの断層が動いたら、トンネルにズレが起こるのではないか。完成したとしても、時速500キロでは急停車できず、車両も人もペシャンコになるのでは?。これらの安全性への証明は、されないままで良いか。

(3)「工事を遅らせているのは静岡県」ではないという指摘を
 一旦着手された工事は、いま長野県・大滝村はじめ随所で残土処理が決まらず止まっている。岐阜県では活断層で斜坑トンネルが落盤を起こしてとまり、残土にウランが見つかって止まる原因になっている。遅れているのはプロジェクトそのものに原因がある。「国家的プロジェクト」にあぐらをかいて住民の疑問に科学的に答えようとしていないJR東海とその後ろにいる国も工事を遅らせている元凶ではないか。

(4)東京ドーム3杯分の残土―流域が大災害に襲われる危険
 大井川上流には360万㎥の残土が数十bの高さに土盛りで捨てられる。記録的豪雨による山体崩壊は防げるのか。答えが求められるのでは?

(5)生態系の激変―環境破壊をどう防ぐか
 南アルプスはユネスコエコパークに登録されているが、流域の豊かな自然環境と合わせて、本市にとっても環境保全は最重要の課題ではないか。

(6)絶対的赤字は誰の負担になるか
 この事業は日本においては絶対に黒字にならないと言われている。大赤字がわかっていて何故やるのか。海外へ売り込むためといわれる。鉄道が果てしなく続く大陸には、役立つ事業かもしれない。静岡県に住む者には何のメリットがないのに赤字だけをいつまでも負担させられるのではないかについては、説明責任が求められるのではないか。
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