令和5年11月藤枝市議会定例月議会
令和5年11月29日 (一般質問)
増田克彦 (藤のまち未来)
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(1) リニア中央新幹線トンネル工事と大井川の水資源について
標題1:リニア中央新幹線トンネル工事と大井川の水資源について
リニア中央新幹線静岡工区、南アルプストンネル工事の問題につきましては最近、生態系に関する国の専門者会議にひと段落が付きましたが、継続審議を求める県の意向に反して国として半ば強引に報告書をまとめたことに憤りを感じています。さて、本市が大いに影響を受ける大井川の水資源については、本市議会でも幾度となく議論がなされてまいりました。そのたびに、水問題がご専門分野でもある北村市長からは頼もしいご答弁をいただいております。
この10月にJR東海の示す、いわゆる田代ダム案をめぐる動きがありましたので、これに関する市長の見解を伺いたく、周辺事項を含めて一般質問いたします。
[1] 2023年9月9日に行われた「JR東海と大井川流域10市町の首長との意見交換会」の後、新聞報道によりますと“9月下旬から10月中旬までの間、(JR東海)職員が各自治体の庁舎を訪れ、田代ダム案についての東京電力との協議の進捗状況や、取水の抑制量をはじめとする具体的な田代ダム案の運用方法などについて、市町の職員や首長に個別の説明をしました。”とありますが、その件について伺います。
-1 JR東海から、個別に説明された内容を伺います。
-2 JR東海が各市町に説明した内容が同じであることは担保されているのか伺います。
-3 9月9日の意見交換会で、“首長側が、流域10市町とJRの事務方で「連絡調整会議」の設置を提案し、トンネル湧水の県外流出対策などについて情報共有していくことでJRと申し合わせた”とのことですが、「連絡調整会議」は既に設置されたのでしょうか。未設置だとすれば、どの様なスケジュールで設置、開催されるのか伺います。
-4 前述「連絡調整会議」と、“中央新幹線建設における大井川水系の水資源の確保及び水質の保全等について、流域の関係者が一体となって対応するため”に設置された「大井川利水関係協議会」との違いを伺います。
[2] 静岡県はJR東海に対して、リニア工事による懸念は水問題・生態系を含む環境問題・残土問題の3点とし、それらを「引き続き対話を要する事項47項目」として、JR東海に送付しております。しかしながら、水問題の解決策の一部である、田代ダム取水抑制案(B案)に、あくまでも“目途が立った”段階で、そのB案が一人歩きして、市民があたかも水問題が解決するような認識を持つことを危惧しております。これまでのJR東海や国交省、県とのやり取りを見ると、その「47項目」が蔑ろにされているように感じるのですが、その点に関しての見解を伺います。
[3] JR東海と流域住民との窓口は静岡県に統一されておりましたが、今回の動きではJR東海は流域市町に個別説明をする形式になったようです。この事情の変化に関する市長の受け止めについて伺います。
[4] B案:田代ダム案は、あくまで中下流域の水問題対策については有効な手段になる可能性があると思います。しかしながら、国民の財産である南アルプスを後世に残すために議論すべき上流域の水枯れ、山体湧水の止水に使う化学薬品による水質への影響、それに伴う生態系への影響など種々の課題について、国交省有識者会議は県からの継続協議の要望を受け入れず半ば強引に報告書をまとめることとしました。報告書(案)では、「大井川上流部の沢の水生生物」「高標高部の植生」「トンネル湧水放流と残土置き場」の3つのテーマについて、JRが予測する影響や対策は、いずれも環境保全措置の進め方として適切と結論付けられています。例えば現在、絶滅危惧種や希少種がどのくらいの個体数、どこに生息するかすら捉えられておらず、影響を予測するために必要な比較する対象やベースになるものが不十分であるにも関わらずです。それらを踏まえて田代ダム案について市長の見解を伺います。10月27日の報道で市長は、「われわれの思いは(大井川の)水量と水質を絶対に守ってほしいという願いが一つ」とおっしゃっています。これは、今でも同じだと思っておりますが、いかがでしょうか。