令和7年6月藤枝市議会定例月議会
令和7年6月10日 (一般質問)
さとうまりこ (日本共産党)
録画を再生
(1) 命を守る水泳授業と、スポーツをする権利を全ての子どもに届けるために
(2) 水道料金の値上げを防いで、市民のための水道事業を〜大井川広域水道企業団の水はいらない〜
標題1:命を守る水泳授業と、スポーツをする権利を全ての子どもに届けるために
少子化が急速に進行し、学校を取り囲む状況が激変している。
全国で、学校の統廃合がどんどん進められるような状況であり、その中で小中学校のプールを統廃合、民間利用していく流れが起きている。設備の維持という問題だけでなく、暑さで屋外での水泳の授業が中止という事態になったり、安全や泳法の指導に不安を感じる教員が多くいるという調査結果も出ている。保護者の間でも、プールをどうしていくのか関心が高まっている。
県内では、沼津市が財政難と熱中症への懸念により、中学校の水泳の授業を全廃してしまったが、この問題については、単にプールという施設をどうするかではなく、「水泳の授業をなぜ行うのか」という教育の在り方をしっかりと確認していくことが必要だと感じられる。
水泳の授業は、水の事故から子どもたちを守るために始まったものである。命を守るための教育を受けられることが大切だと考える。また、川や海の状況が大きく変わり、経済的な理由で水泳の体験にも格差が広がっている。子どもたちのスポーツをする権利を守っていくことも必要である。公教育が水泳授業存続に責任を持っていくことを求めて質問する。
(1)教育委員会において、水泳の授業をどう位置づけているか。また、これからどうしていくかを伺う。
(2)プールの経年状況、水泳授業の予定時間数と実施時間数、中止理由などの
実施状況。
標題2:水道料金の値上げを防いで、市民のための水道事業を〜大井川広域水道企業団の水はいらない〜
各地で、老朽化による水道管破裂事故のニュースが相次いでおり、「水道管の事故が起きないか、値上げはされないか」と市民の心配が高まっている。
本市の水道事業では、耐震化は道半ばであるが、幸いにも豊かな水資源に支えられて、今後も安定した経営が図れるということが上水道課より報告されている。しかしながら、この水道の状況に影を落としているのが大井川広域水道企業団からの水の買い入れである。
先述したように、大井川の扇状地には非常に豊富な伏流水があり、平野部では井戸を掘れば地下水をふんだんに得ることができる。大井川流域では多くの企業も、大規模にこの地下水を利用している。現在、本市の上水道には24カ所の水源(井戸)があり、地下水で上水道をすべて賄えるにもかかわらず、わざわざ大井川の水を毎年4億円以上かけて大井川広域水道企業団から買っている。
この点について、市民の負担軽減のため、またおいしい藤枝の水をいつまでも安く飲めることを願って質問する。
(1)これまで必要のない大井川の水を買い続けてきたことについて
@市内の地下水で十分賄えるにも関わらず、なぜ企業団から水を買ってきたのか。
A受水開始の1988〜2024年(S63〜R6年)までの受水費の総額。
B受水費以外での企業団への負担にはどのようなものがあったか。また、その総額。
(2)これからも必要のない水に、莫大な支出を続けるのか
大井川広域水道企業団では、2029年(R11年)度からの給水料金改定準備を進めている。
これを機会として、本市では企業団からの基本受水量を約6割近く削減する。しかしながら、改訂料金案(極端な事例と断りはあるが)をもとに試算すると、基本料金が大きく上がるため受水量を6割減らしても支払いは2割程度しか減らない。この場合、使用料の少ない本市では、受け取る水1t当たりの費用は今の約63円から121円と倍になる。受水費は段階的に減っては行くものの、50年後でも2億円程度を払い続けることになる。
このまま企業団に加入していれば、半世紀かけて必要のない水に100億円以上という莫大な額を負担していくことになるのではないか。
(3)大井川広域水道企業団の水は、災害時の水として有効か
市内の水源で充分足りるにもかかわらず、企業団からの大井川の水を買い続ける理由は、
「災害時に、地下水を汲み上げる井戸の復旧まで2〜3週間程度かかることを想定し、地上を流れる水と2つの水系を確保しておく」とのこと。
そこで、水が実際に市民の手元にまで届くまでを確認すると、企業団の水も地下水も、電力を使うポンプで山の上の同じ配水場にあげられ、同じ配管で配水されている。電気が止まってしまえば企業団の水も来ない。島田市相賀の浄水場からは、配水池までは1経路しかなく、どこかで配水管が壊れてしまえば、そこから先には届かない。設備の耐震化が進んでいなければ、大きな水源を一つ確保しても、結局各家庭まで水は来ない。
@企業団から水を買う前に、費用を配水管や施設の耐震化と動力の確保に充てるべきではでないか。
A災害には、一つの大きな水源ではなく、無数の井戸、貯留施設、企業との提携、浄水器を家庭や事業所にも備えるなど、水源を各地に分散して給水できる体制が必要ではないか。
B他の水道事業者からの水道用水の緊急応援について水道法40条に定められている。大井川の水は緊急時以外買う必要がないはずだが、なぜ平時も毎日買い続けるのか。
(4)必要のない大井川広域水道企業団の水を買わずに、水道料の値下げを
東京都が、この夏4か月の水道基本料を無料にするという発表をした。1世帯5,000円ほどの減額となりその分、物価高で苦しむ都民にエアコンの使用を促すという。
大井川広域水道企業団からの受水だけでもやめれば、使用料の2億円が節約できる。また、本市の水道事業は、ここ数年、企業団に4億円を支払ってもなお5億円前後の黒字であった。余ったお金は資本金として積み上げられている。
本市でも市民生活応援のために、期間限定の料金引き下げなら十分可能である。
この夏の期間、水道料金の値下げを実施してはどうか。
(5)市民の負担軽減のために、大井川広域水道企業団からの受水停止を
人口減少が確実であるにもかかわらず、企業団から水を買い続けることは、将来にわたり市民に余分な負担を背負わせることになる。企業団は必要としている自治体のために維持していかねばならないが、水道事業は独立採算、受益者負担で行うと法律で決められている。
企業団を維持するために本市が必要のない水を買い取り、負担をいつまでも市民に押しつける理由とはならない。水道事業の責任は、国や県が負うべきものである。
企業団では、令和9年度からの施設の更新が計画されている。工事が始まれば、その費用負担を新たに求められることになる。この切り替わりの前がチャンスである。
@大井川広域水道企業団からの受水をやめるべきではないか。
A本市と同じく自己水源で需要を賄うことができる焼津市とも協力し、緊急時の受水のために最低限の負担を協力するという参加の枠組みを、企業団の中に作っていくことはできないのか。