質問通告内容
- 会議名
- 令和5年9月藤枝市議会定例月議会
- 質問日
- 令和5年9月8日
- 区分
- 一般質問
- 議員名
- さとう まりこ (日本共産党)
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内容
標題1:だれ一人取り残さない保育のために、保育士不足の打開を
(1) 「障害のある子を預ける保育園が見つからない」母の訴え
7月に行われたタウンミーティングで、障害のある子を持つ二人の母親から「希望する園から断られ困っている」という訴えがあった。希望といっても、好き嫌いではない。「兄弟と別の遠い園で職場と反対方向」「子どもの特性上、その園で過ごすのは厳しい」など、家庭の状況と、受け入れ可能な園との間にミスマッチが起きている。
無理して入園しても、結局通い続けられないことが予想され、そうなれば母親が仕事を辞めざるを得ない。しかし、母親たちは子どもが成人した後も経済的に支えていかなければならないと考えているから、正社員での仕事の継続を希望しているのだ。待機児童ゼロは、母のあきらめの上に成り立つものであってはならない。市の対応を伺う。
(2) 6月議会でも取り上げたが、保育園の側が支援の必要な子供の受け入れを断る最も大きな理由は人手不足である。こども園の増加や預かり保育で待機児童はゼロとなっているが、時間帯や時期によっては配置基準ギリギリとなり苦闘している。余裕のなさは子どもの命にかかわるため、これまで支援の必要な子を受け入れてきた園でも、これ以上の受け入れが困難となってきている。
園側は保育士を切望しても採用できずにいる一方で、保育士資格をもちながら保育施設に勤務していない潜在保育士は全国に90万人以上とも言われる。この方たちが保育士として就労しない原因はどこにあると考えているか。
(3) 専門性が高く重労働で、命を預かる責任があるにも関わらず、保育士の賃金は全産業の8割程度と低い。だが、これは私立の場合で、直営の市立の園では保育士も市職としての給与体系となるため、民間の保育士よりも賃金は2割高い。
コスト削減のために保育園の民営化をすすめたことは、保育士の職場環境を悪化させ離職を招いている。そのしわ寄せは一番弱い存在の子どもとその家族に及び、今回の訴えにつながった。
本市には独自の特別支援事業に対する補助金があるが、保育士を一人新たに雇うには足りない。市は研修等での待遇改善にも努めているが、現場は職員を研修に出す余裕がないほどひっ迫している。昨年度には、市内のいくつかの園でかなりの数の保育士が退職し、そのあとが埋まらないという。今年度の状況はどうか。緊急の課題として、保育士の確保をどうするのか対応を伺う。
(4) 保育士不足は来年以降、さらに厳しい状況が予測される。国が実施した待遇改善のための加算は、他業種との賃金格差を埋めるにはまったく足りない。少子化がすすんでいることに加えて保育分野を志望する学生も減っており、新卒採用も難しいという。また、新卒者は待遇の良い地域に流れてしまい地元での就職が減っている。この状況では、支援を必要とする子の受け入れ先は狭まるばかりである。
発達支援の在り方についても、課題がある。本市には現在、児童発達支援センターと9つの児童発達支援事業所があり、専門的な支援を手厚く受けられることは高く評価される。しかし、子どもや保護者にとって、通園している園と別の場所にも通うことは大きな負担となる。障害のあるなしに関わらず同じ場所で過ごせるよう、専門的な対応のできる保育士の育成が必要である。市もその準備をすすめているが、保育士が足りず日常の保育すらままならない状況では、人材育成も進めようがない。
この先、安定的に保育士を確保し、手厚い体制を作るために何が必要かを伺う。
(5) 国は予算を倍増させ異次元の少子化対策を進めるとしている。本市でも、思い切った予算対応が必要ではないか。財政部局の対応を伺う。
標題2:道の駅構想の実効性について
(1) 藤枝市「道の駅」全体構想について
道の駅は地方創生の拠点として全国的に流行し、登録数は1200カ所を超えた。だが、このうちの3割は赤字という。黒字のところも、補助金や業務委託費なしの売上だけでみれば、ほとんどが赤字だ。経済的に成功している道の駅は、実は一部に過ぎない。実質赤字でも、地域活性化のためとして運営に税金が使われている。
本市では、現在既存の道の駅宇津ノ谷峠と玉露の里の2駅に加えて、さらに仮宿と瀬戸谷の2カ所に道の駅を建設している。4つの道の駅を起点に歴史文化の観光、陶芸や農業などの体験を提供し、北部地域を回遊する広域からの人の流れを作ると構想している。しかし、先行する2駅が苦戦しているなか、成功させるのは容易なことではない。
確かに、好調な道の駅はいくつもあるが、その裏には様々な取り組みと不断の努力がある。例えば、人気ランキングの上位に常に位置し、大成功している群馬県川場村の「川場田園プラザ」では、40年にわたる世田谷区との縁組協定などを皮切りに数々の取組の成果の上に開設され、現在も不断の経営努力を重ねている。
これに比べて、本市での経緯は大きく異なる。始まりは、国交省が潮トンネルの掘削土の埋立地としてクリーンセンター附帯施設用地を求め、引き換えに道の駅建設を提案したことだ。市は、建設費用の軽減と附帯施設機能の代替が可能としてこれを受け入れ、道の駅構想を策定することとなった。建設費は安く済んでも、維持管理や運営は市が担わなければならない。後々の財政負担にならないように慎重な事業計画が求められる。安定経営の観点から、事前調査はどのようにされたのか。安易な取り組みになっていないかを伺う。
(2) 瀬戸谷の道の駅について
多くの道の駅が赤字になるのは、しっかりした収益の試算なしに建設されるからだ。公共施設として初期投資の回収が必要ないため、設備が過大となり維持費が重荷になる。将来的な財政負担を防ぐには、収益の見込みが非常に大切である。
現在、建材価格が高騰し、建設費も当初計画より上昇している。これを機に、地域の需要や売上の試算をきちんと行い適正規模となっているか確認すべきではないか。
道の駅間の競争が激化し、持続的に発展させるには高度な知識やノウハウが必要となっている。運営面での取り組みはどうなっているか。
(3) 仮宿の道の駅については、採算面だけでなく重金属汚染の土と引き換えに国交省から押し付けられたもので環境面からも、地元不在という点でも深刻である。
この場所で、採算は取れるのか。SDGsやオーガニック宣言の理念とも相いれない。道の駅の建設はやめるべきではないか。