質問通告内容
- 会議名
- 令和6年2月藤枝市議会定例月議会
- 質問日
- 令和6年3月6日
- 区分
- 一般質問
- 議員名
- さとうまりこ (日本共産党)
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内容
標題1:「住まいは人権」 どんな時でも誰でも安心して暮らせる住まいを
安心できる快適な住まいは、生活の基本である。
住まいは、その人の生命、健康、人生を左右し社会生活を営む上でもなくてはならないものである。しかし、その大切な住まいを災害や、事故、失業などで突然に失ってしまうことは、誰の身にも起こりうることだ。
昨年、高齢の男性から「住宅が差し押さえになる」と、相談を受けた。市営住宅への入居が最適と考えられたが市税の滞納があり、解決のために数か月かかってしまった。また、以前あるご夫妻が寮付きの仕事という契約で静岡にやって来たが、約束が守られず、住まいも仕事もなく所持金も尽きて、本市の窓口に助けを求めた。とりあえずの宿泊先として、無料定額宿泊所を紹介されたが、その後も住まい探しに大変苦労された。
民間の賃貸住宅では、経済的な問題はもちろん、高齢、障害、一人親、性的マイノリティなど、様々な社会的理由で入居からの排除が起きている。孤立化、無縁化が進む社会で、いざという時の住まいの確保を、しっかりと公共で支えて行く必要がある。
「快適な住まい」は、一人一人に保障されるべき人権として世界人権宣言や、国際人権規約で認められている。日本では、憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。A国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」に基づき、住まいの確保のために生活保護法では住宅扶助が、公営住宅法等では、公営住宅を整備することが定められている。
どんな時でも誰にでも、健康で文化的な住まいが確保されることが、基本的人権である。本市の、人権としての住まいの在り方について伺う。
(1) 藤枝市の市営住宅募集案内にある入居資格、「確実な連帯保証人のある方」「市町村民税の滞納をしていない方」「単身者は60歳以上」「市内に住所又は勤務先を有する方」について
保証人を確保できない人が、増えている。保証人ビジネスでは、弱みに付け込むトラブルも相次ぐ。市税の滞納については、収入の急減などの事情がある。若者の二人に一人は非正規雇用である。就職氷河期世代は50代に突入しているが、平均賃金は低いままだ。成人しても経済的に親から独立できず、家庭の中で追い詰められ精神障害等を発症する事態も起きている。
これら項目は、配慮すべき事情があるものとして公営住宅管理標準条例(案)において2020年に削除され、同時に要件を緩和するよう都道府県と政令指定都市にむけ、国交省から通達が出ている。
「市内に居住又は勤務先」については、この条件ではホームレスになったら申請できない。一番困っている人を、門前払いすることになる。この項目について、以前より公営住宅管理標準条例(案)には、許容はされるが法の趣旨に反するとも記載されている。
これらの入居要件について、本市としても見直していくべきではないか。
(2) 今日、泊まるところがないという方の緊急の住まいの確保について
福祉政策課の窓口に行き生活保護を申請しようとすると、無料低額宿泊所を案内される。無料と付くから無料かと思いきや、その宿泊所では、2万円の布団を買わされ、食費を払っているのに弁当が人数分ないなどの状況があるという。宿泊費用等は、生活保護が決まれば後から保護費から天引きされる。
他に行くところもなく、NOと言えない。これは一種の貧困ビジネスではないのか。こういった施設への入居を、生活保護申請の際に求めるべきではない。緊急時のシェルターとして、市営住宅の空き室や、ビジネスホテル等の利用で対応すべきではないか。
(3) 2022年の台風15号で浸水した市営住宅藤岡2号団地について
リフォームはされたが、根本的な浸水対策は行われていない。高齢化も進み、次に浸水被害が起きた時の入居者の避難体制や、生活の立て直しが非常に心配される。何度も水に浸かる市営住宅が、健康で文化的と言えるのか。入居者をこれからどう守っていくのか。
(4) 災害時の住まい、避難所について
東日本大震災に続き熊本地震でも、災害関連死が大きな問題となった。能登半島地震では、ひと月が過ぎても劣悪なままの避難所や、二次避難が進まない様子が伝えられている。今、市民の多くが、「災害が起きたら避難所はどうなるのか」と不安を感じている。
国際的には、災害や戦災の避難所について「プライバシーが守られる、快適な温度の空間が、一人一人保障される」という、国際赤十字などが定めた「人道憲章と人道支援における最低基準」、通称スフィア基準がある。内閣府の避難所運営ガイドラインにも、参考にすべきとされている。
スフィア基準のように、憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」は、避難所においても保障され、避難所の質の向上は、贅沢ではなく人間らしく生きるための人権だということを認識していくことが、いま大切ではないだろうか。
内閣府ガイドラインには、「段階的かつ確実に、『質の向上』を目指すことは、避難所の運営のための支援・調整を担う市町村の責務」とあるが、現在のところ、本市の避難所運営マニュアルでは、一人当たりの面積やトイレ設置数と受入可能な人数は、スフィア基準と比較してどうなっているだろうか。
大災害ともなれば、国際基準レベルの対応は、国が責任を果たさねば到底困難であろうが、国を待っていては次なる災害に間に合わない。今後、本市として、避難所であっても人間らしく健康で文化的な生活を確保するために、どのように備えていくか伺う。